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2026年5月5日火曜日

【活動紹介】爬虫・両生類新興感染症対策委員会

 

設立目的

ボーダレス化は経済活動に大きなメリットをもたらす一方,地域固有の病原体が拡散するリスクも高める。われわれが2019年〜2020年にかけて国内流行を発見,報告したヘビ真菌症 (Snake Fungal Disease, SFD) は,2006年にアメリカ東部で発見されて以来,ヨーロッパやオーストラリアでも相次いで見つかっている新興感染症の一つである。他種多様なヘビたちのホットスポットである我が国にとってSFDのような新興感染症は貴重な固有種と生態系全般に対する重大な危機となり得る。まだ不明な点の多いこれら新興感染症に対して有効な対策を構築するには,蔓延状況の調査,病原体の生物学的性状の分析,感染症の病理発生の解明が必須である。爬虫・両生類新興感染症対策委員会は2024年,これら活動を通じて新興感染症に対する理解を深め,生物の多様性と生態系の保全に貢献することを目的として設立された。

設立日 2024年12月19日 (木)

メンバー

  • 宇根 有美 (一社ADRSA代表理事)
  • 土城 勝彦 (たまよせ動物病院院長)
  • 田中 治 (クウ動物病院院長)
  • 高見 義紀 (バーツ動物病院院長)
  • 細矢 剛 (国立科学博物館 副館長・物研究部長)

協力者

  • 戸田 守 (琉球大学准教授)
  • 内野 祐弥 (沖縄石垣島環境事務所保護官)
  • 鈴木 規慈 (沖縄石垣島環境事務所保護官)
  • 近藤 千尋 (沖縄石垣島環境事務所保護官)
  • 林 美緒 (沖縄石垣島環境事務所保護官)
  • 高木 亮太郎 (琉球大学研究生)

活動計画

  1. 野生ヘビにおけるヘビ真菌症の原因真菌 O. ophiodiicola 浸淫調査
  2. 日本国内野生在来種を対象として、重点調査地域を与那国島と石垣島とする。
  3. 有病ヘビ収容施設の設置と運営 (ヘビシェルター)
  4. 野外調査で有病個体が見つかった場合、捕獲して、治療、経過観察を行う
  5. O. ophiodiicolaの在来種への病原性評価
  6. ヘビ真菌症の診断法および治療法の検討・確立
  7. ヘビ真菌症対策の検討・確立
  8. ヘビ真菌症に関する広報(拡散防止、正確適切な情報発信)
  9. その他 適宜、必要な活動を加える
活動の経過は随時 ADRSA ウェブサイトならびにADRSA Up-To-Date ブログで報告します。



2025年9月27日土曜日

【学術集会案内】第21回SCAPARAワークショップ

 



SCAPARA 「爬虫類・両生類の臨床と病理のための研究会」からのお知らせです。

SCAPARAがワークショップを開催します。
ハイブリッドで,参加費無料ですが,事前登録が必要になります。
特に,品川会場への参加登録は先着順です(人数制限あり)懇親会事前登録で先着順です。予めご承知おきください。
よろしくお願いいたします。

SCAPARAウェブサイト

2025年7月6日日曜日

施行状況評価報告書:種の保存に関する法律

 環境省より「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律 施行状況評価報告書」が公表されました。

施行から5年を経た同法律の施行状況を検討・評価し,問題点と課題を抽出した報告書です。

ADRSA代表 宇根 有美も「野生動物の個体識別」に関する部分でヒアリングに参加しています。

「種の保全」に対する認識を新たにするため,ぜひご参照下さい。


環境省 報道発表資料

絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律 施行状況評価報告書

※報告書の概要,報告書本体,参考資料の三点が掲載されています。

2025年4月12日土曜日

第3の新興感染症 ヘビ真菌症 (SFD) の脅威

画像引用元: 朝日新聞記事 2025年4月10日付

ADRSA代表理事 宇根 有美 が報告し,実態解明を進めている第3の新興感染症「ヘビ真菌症」SFDについて,朝日新聞社からその脅威をまとめたニュースがリリースされました。ADRSAが情報提供をしています。

朝日新聞社記事 2025年4月10日 (有料記事)

記事では,生態系の頂点に立つヘビの感染症は生態系に多大なる影響が懸念されること,日本に侵入してきたSFDの病態,拡がりと自然界への影響に関する調査を進める「八重山ヘビ真菌症感染対策委員会」が紹介されています。

宇根代表も対策委員会のメンバーとして実態解明に尽力するとともに,引き続きADRSAも情報発信に努めて参ります。皆さまから積極的な関心をお寄せいただくことがエネルギーになります。引き続きのご協力をお願いいたします。

【関連記事】

緊急報告〉世界初!第4の新興感染症を日本から報告

2025年3月9日日曜日

〈緊急報告〉世界初!第3の新興感染症を日本から報告

 


国立科学博物館 細矢 剛 先生の論文が BioRxiv 上に公開されました。ADRSA代表 宇根 有美 も共著者です。現在査読段階,程なく受理される見込みです。

論文タイトル

First evidence of Clavicipitaceous fungus attacking a vertebrate.

著者
Tsuyoshi Hosoya 1, Tomotaka Sato 2, Sho Kadekaru 2, Yumi Une 3

  1. Department of Botany, National Museum of Nature and Science
  2. Department of Veterinary Pathology, Faculty of Veterinary Medicine, Okayama University of Science
  3. The Animal Disease Research and Support Association
【内容】
個体数が激減しているナゴヤダルマガエル (Pelophylax porosus brevipodus) からバッカク菌科糸状菌 Metapochonia bulbillosa が分離された。自然発生例の解析と感染実験の結果から,この真菌がアマガエル同様ナゴヤダルマガエルにも致死的な病原性を示すことが明らかとなった。これらの結果は,植物寄生性とされてきたバッカク菌科糸状菌が脊椎動物の健康状態にも影響することを示す,初めてのデータである。

投稿された論文は "BioRxiv" で参照することができます。
査読段階の Manuscript ですので,最終的に Publish されるものと記述が異なる場合があります。
〈論文 Manuscript, BioRxiv〉


2024年11月17日日曜日

第30回野生動物医学会大会

 


標題の学術集会で自由集会を主催します。

自由集会10
国内における第 3 の新興感染症 Ophidiomycosis の現状と今後
Current Status and Future of the Third Emerging Infectious Disease,  Ophidiomycosis, in Japan

2024年10月11日金曜日

【学術集会参加報告】アジア保全医学会2024

Twin Towerからみるウランバートル市街の夜景

モンゴル国の首都,ウランバートルで開催されたアジア保全医学会 (ASCM) の2024年集会に参加してきました。

17th Asian Society of Conservation Medicine Conference, Ulaanbaatar, Mongolia
"Living in Harmony with Nature: Wildlife, Human and Ecosystem Interface"

会期    2024年9月30日〜10月4日
会場    School of Veterinary Medicine, Mongolian University of Life Sciences


会場キャンパスを散策する市民

アジア保全医学会は "One Health",地球上に暮らすヒト,動物,自然環境の健康は一つにつながっている,の概念のもと,家畜・野生動物の保全に携わる人たちの団体です。毎年この時期にアジア各国持ち回りで学術集会が開催されます。2024年度はアジア各国はもちろんのこと,オーストラリア,アフリカ,ヨーロッパ,アメリカ大陸から160名を超える会員がここ,晩秋のウランバートルに集いました。

市街地公園の緑地に憩うカササギ (Pica pica)


モンゴルの広大な草原では2000年以上にわたってヤギ,ヒツジ,ウマ,ラクダなどの遊牧が営まれてきました。高山砂漠や平原の豊かな自然界と人々の営みが一定のバランスをもって
 ネットワークを構築し,豊かでユニークな生態系が維持されています。しかし近年の経済発達と人口増加,地球温暖化に伴って家畜の数が急増し,そのバランスがいま崩れようとしています。

国をまたいで伸びる石油・ガスのパイプライン,草原を横切る道路,放牧地の境を示す有刺鉄線を張った柵など,ヒトの経済活動により自然界には存在しない「直線」が急速に増えています。野生動物の行動はこの直線で制限され,変化を強いられ,また時には交通事故や柵への激突で生命が奪われています。道路を跨いだり,潜ったりする動物用通路の建設や,安全な策の模索が続けられていますが,マンパワーや予算の制限があってその成果は限定的です。

家畜と野生動物のコンタクトの機会が増加し,相互の感染症も顕在化してきました。ダニの媒介するバベシア,タイレリアによる貧血は深刻な病態を引き起こします。

人々の豊かな生活の原動力となる経済活動は止めることはできません。その豊かな果実の享受と生態系の保全は背反するニ律ではないはずです。生態系の健康は動物とヒトの健康に直結しているのです。モンゴル平原の豊かな自然は渡り鳥たちにとって貴重な経由地です。毎年多くの渡り鳥がモンゴルを経由してシベリアと東南アジア,日本を往復しています。私たち日本人もこの問題に無関心ではいられません。アジア保全医学会に参加し,アジアの現状と問題解決への取り組みに目を向けてみては如何でしょうか。来年,2025年は半島マレーシア,コタバルで開催されます。